タリウム少女の毒殺日記(ネタバレあり) [映画]

そう言えば、このテの映画って
少女×ポップは成り立つけれど少年×ポップって成り立たんよね。
そんなどうでも良いことを考えながら、
公開一カ月目にして気になっていた同作を観賞。
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内容としては、
数年前に実の母親をタリウムで毒殺しようとした少女…
をモチーフにした、あくまでフィクションの少女の話。

「観察するぞ」
「観察するぞ」
「観察するぞ」
動物、微生物、ヒト。そして自分自身でさえも客観視してしまう主人公は、
母親に少しずつタリウムを投与し、その状況をブログ&動画で公開している。
ヒトの営みは、生まれてくる前に定められたプログラムによって全て決められている。
そう思っている少女は、他者の人生に対しても、
自分自身の人生に対してすら興味を覚えない。
ただあるのは『観察する』という行為のみ。

自分とは正反対の母親。
生に執着すると同時に性にも執着する彼女を、
主人公は、まるで解剖したカエルの臓器を眺めるかのような
冷静な視点で『観察』していく。

学校ではいじめを受け、
アダルト系のサイトにその映像を垂れ流されながらも、
ホルマリン漬けにした金魚のように、自分自身すら客観視する彼女。

そんな彼女の前に、一人の少年が現れる。
黒いランドセルを背負い、その横に防犯ブザーをぶら下げた裕福そうな少年に、
彼女は接触する。

その瞬間、彼女の中でプログラム(=彼女の人生)のアップデートが行われる。

*****
元ネタが元ネタだけに、
相当ドキュメンタリータッチが強いとキツイ映画なんだろうなと思ったら、
意外とかなりポップな仕上がりになっていた。
(ちなみに予告編は未見で観に行ったクチ)
例としては、主人公自身の外見を模したアバターの他に、
『踊ってみた』『チルノのパーフェクトさんすう教室』などを盛り込む程度。
まさか大画面でチルノを観る羽目になるとは思ってなかったし。

で、映画の内容について。
「観察するぞ」という主人公の言葉通り、
冒頭からいきなりカエルの解剖から始まったこの映画は、中盤まで
殆ど一切の主観を入れないで淡々と役者や風景を『観察』していく。
主人公が金魚をホルマリン漬けにする場面然り、
主人公が母親の皮膚に生じた異変を観察する場面然り、
主人公がクラスメイト達からいじめを受ける場面、
あるいは男性教師から性的な好奇心を向けられる場面、然り。

こういう類の映画って、どこかしらに監督の主観が入ってキモチワルクなるものなので、
淡々と映像を撮りこなしていく今作に実に好感が持てた。
だからこそ、ラストの主人公がタリウム投与を止める場面。
あれが理解出来なかった。

で、幸いなことに監督にQ&Aを聞く機会があったので、
その辺のことを聞いてみた。
で、やっぱりこの質問が一番多いらしい。

「主人公が母親殺しを止めたのは、プログラムに従って生きることを放棄したから。
このままタリウムを投与すれば、いずれ母親が死ぬということは分かりきっている。
そんな分かりきったことをするなんて、面白くない。
他にも選択肢があるよということを、彼女は自分自身の人生をアップデートさせることで
身につけることが出来た」

大体こんなコメントだったと思う。
個人的にそのコメントは100%納得のいくものだったが、
主人公がボディピアスの姉ちゃんとチャリニケツで爆走
このオチから監督の真意を汲み取れって言われても、正直無理っすよ(涙)。

てなワケで、
監督の注釈が無ければ☆2、注釈つきで☆4の映画でございます。
なんか色々と勿体ない作品だったなあ……
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