イノセントガーデン(ネタバレあり) [映画]
ミアの自慰シーンなんぞ観ながら、そういやこの監督割とエロい描写だったわと思い出したり。
……あ、ブラックスワンのスタッフだからか。なんか納得。
監督はパク・チャヌク。
祖国・韓国では『復讐三部作』で名を挙げた監督であり、
このうちのラストを飾る『親切なクムジャさん』は私の中でアジア映画のベスト3に入る。
映像の絵画的描写もさることながら、クラシックを重用した素晴らしい心象風景の展開、
更に美しい画面の割に暴力的描写が比較的多いのも、この監督の持ち味でございましょう。
ただ『復讐三部作』の後、なんかプッツンしてしまったのか、
『サイボーグでも大丈夫』の何が大丈夫なんか知らないヨーデル三昧のコメディ映画、
赤い頭の女がひたすらに不快な『ミスにんじん』(脚本)、
ホラーの筈がどうしてこうなった的どたばたコメディ吸血鬼映画の『渇き』と、
近年の彼は非常に残念でございました。
その彼がケツ顎(すまん)ミア嬢と永遠の美女、二コールを従えて新作を撮るというのだから、
一体どんなものになるのかと色々とハラハラドキドキの心境で待ち望んでいた。
公開から随分経った今ようやく映画館に足を運んだのは、
別段チャーリーがブサメンだったから躊躇していたという訳ではない。
や、本当はイケメンなんだろうけれど。なんか……あの笑み苦手なんだよな……
さて、内容。
ミア嬢演じるインディアは男好きの母、イヴリン(二コール)に反感を持っている。
大好きだった父の逝去後、彼女が他の男に直ぐ目移りする様子が気に入らない。
そんな彼女の前に、突然叔父だと名乗る人物が現れる。
チャーリーと名乗るその男はイヴリンに近付きながらも、
インディアに対し「友達になりたい」と言い、少しずつ距離を縮めていく。
学校では異性同級生の視線すら嫌悪するインディアだが、
自分ですら気付かないうちに、次第にチャーリーとの接触を望むようになっていく。
ある晩、イヴリンとチャーリーがキスをするのを見てしまったインディアは、
ショックで家から飛び出し、同級生の元へと逃げる。
同級生の少年を人気の無い森へと誘うインディア。
少年とキスを交わした際、思いがけず“血の味”を知ってしまったインディアは、
自分の中に妙な高揚感が沸き上がるのを感じる。
ヤバいと思い、インディアは少年から逃げ出そうとするが、
少年は彼女の異変も知らずにそのまま彼女を無理やり抱こうとする。
抵抗するインディアの向こうで、森の木の陰からチャーリーが姿を現す。
そして彼はズボンのベルトを引き抜くと、そのまま少年の首にベルトを掛け、
絶命させる。
―以下、ネタバレありの結末へ↓
インディアの苗字が『ストーカー』なので、てっきりこれも吸血鬼モノかと思っていたら
(ブラム・ストーカーから取ったものらしい↑)
シリアルキラーの話だった。
冒頭の“大人になる”“束縛から解き放たれる”というのは要するに
インディアが父親の“枷”から解放されるという意味であり、
(注:インディアの父は早くからインディアの殺人鬼としての素質を見抜いており、
狩りに連れて動物を殺させることによって、殺意が人間に向かないようにしていた)
その素質を開花させる→人殺しの味を覚えるということ。
チャーリーが「友達になろう」と言ったのは、彼自身もまた殺人鬼の遺伝子を持っており、
その仲間として自分と同じ遺伝子を持っていると思われるインディアに近付いた。
面白いのが、ここでチャーリーとイヴリンの心境が語られるという点。
チャーリーは昔、自分の殺人衝動に耐え切れず、
弟を生き埋めにして殺した過去を持つ。
にもかかわらず、その事実を知る兄や父に自分を愛してくれと懇願する。
一方のイヴリン。
男に依存することでしか生きられない彼女は、
急速に仲良くなったチャーリーと娘の様子に「殺したい程憎い」と呟く。
さて、その娘はどうか―と言うと。
逃避行の前座として、イヴリンを殺害しようとするチャーリー。
インディアに「早く見に来いよ!」と急かすチャーリーの前に、
冷静な面持ちのインディアが現れる。
その手には銃。
浮かび上がる回想。銃で鳥を狙うインディアと、その傍らで的確なアドバイスを行う父。
父のアドバイスに従い、引き金を引くインディア。その先に居たのは―
まとめ。
パク・チャヌク監督。復活、おめでとうございます。
美しくて醜く、繊細でありながらも暴力的で猛々しく、そして図太い。
シリアルキラーの話というだけでなく、思春期女子の心の葛藤も同時に描いている巧妙さ。
本当に素晴らしゅうございます。
あと、ラストでようやくチャーリーがブサメンで良かった、と納得しましたわ。
ピラミッド5000年の嘘 [BD/DVD]
ちょwなんも解決してねえwwww
劇場公開当時は観逃してしまい、いつ観ようかと手ぐすね引いてたら、
WOWOWがやってくれました。素晴らしい。
先月から契約したけれど、入手困難だったOSS117続編から大人計画の舞台上映まで
やってくれるなんて、月額三千円以上の仕事をして下さる。
このままロシアカルト映画の上映も頼みます。←まだ言うか
内容はエジプト・大ピラミッドの成り立ちについて疑問を解き明かそうという話。
ちなみに大ピラミッドっていうのはアレですな、クフ王のでかいピラミッドのことですな。
このストーリーの起点としては、
・あんな巨大なピラミッドを20年で造れるのか
・ノミと打ち石のみで真っ直ぐに石を切り落とせるものか
・巨大な石を遠方から運搬する技術が古代にあったのか
・そもそも、あのピラミッドは本当にクフ王の治世に造られたものか
等の疑問が挙げられていた。
最初のツカミとしては
“古代の建造物っぽいけど、調べてみたらもしかして現代に手を加えたものかも!”
ってなテイストで来るかと思いきや、
いきなり超古代の人類滅亡説へと到り、私的にはガチ予想通りの展開に。
流石フランス映画。きっと資金的な事情があったか、メンド臭くなっちゃったんでしょうな。
まあ、ドイツかオランダに作らせたら議論ばかりでオチが無いだろうし、
北のコメの国なんか確実に宇宙人説持ち出してくるだろうけど。
何はともあれ、この映画を観ての個人的な見解↓
疑問1:ピラミッドの作り方が遺されていない
→この時代王位を巡る争いなんて日常茶飯事だったから、ンな機密事項は紙に残しておけない。
てか、紙(パピルス)自体超高価だったし、用途は死者の書だったから作り方なんて伝聞だったんじゃないのかしら。個人的にはエジプトを属州にしたローマ人がビビり、石版文献等々全てを焼きつくしたもんだと思っとるけど。
疑問2:各地に遺されている有名な遺跡には全て、違うサイズの石を組み合わせるという技術が共通している。もしかしたらこれらは全て同一の文明人が作ったのでは?
→どの国の人間でも、地震で何度も家が倒壊するような地域に住んでるのであれば、それを解消しようと奮闘するでしょう。その手段が「違うサイズの石を組み合わせる」というものであり、偶々他の地域の文明とカブったため。
疑問3:でも天文学的にも数学的にも色々と似通り過ぎてるし。
→まあ、大陸移動説で南米と西阿の形状が超似てるしって言われてるから、元々一つの大陸だったものが時を経て分かれたと思ってもおかしくはない。
この映画に出てくる学者の一人が「人類が滅亡してもピラミッドは残る」って言ってる位だから大陸がくっついてる時に人類が滅亡、後に少しずつ大陸が分かたれ、現在の形状になってから太古の文化が発見されました。って具合なんじゃないかしら。
こう考えると疑問2に関しては、確かに同じ文明の人間によるものって考え方が出来るけど。
疑問4:要するに、古代文明が現代に生きる我々に対し、来るべき滅亡の瞬間に際しての警鐘を鳴らしているみたいなんだけど。
→余計なお世話です。そもそも現文明では地球がぽかーんといったら、我々もぽかーんと行くしか無いじゃないよ。
あと、磁極反転すると人類が滅亡するってシナリオ、私確かドラえもんで読んだよ。
劇場公開当時は観逃してしまい、いつ観ようかと手ぐすね引いてたら、
WOWOWがやってくれました。素晴らしい。
先月から契約したけれど、入手困難だったOSS117続編から大人計画の舞台上映まで
やってくれるなんて、月額三千円以上の仕事をして下さる。
このままロシアカルト映画の上映も頼みます。←まだ言うか
内容はエジプト・大ピラミッドの成り立ちについて疑問を解き明かそうという話。
ちなみに大ピラミッドっていうのはアレですな、クフ王のでかいピラミッドのことですな。
このストーリーの起点としては、
・あんな巨大なピラミッドを20年で造れるのか
・ノミと打ち石のみで真っ直ぐに石を切り落とせるものか
・巨大な石を遠方から運搬する技術が古代にあったのか
・そもそも、あのピラミッドは本当にクフ王の治世に造られたものか
等の疑問が挙げられていた。
最初のツカミとしては
“古代の建造物っぽいけど、調べてみたらもしかして現代に手を加えたものかも!”
ってなテイストで来るかと思いきや、
いきなり超古代の人類滅亡説へと到り、私的にはガチ予想通りの展開に。
流石フランス映画。きっと資金的な事情があったか、メンド臭くなっちゃったんでしょうな。
まあ、ドイツかオランダに作らせたら議論ばかりでオチが無いだろうし、
北のコメの国なんか確実に宇宙人説持ち出してくるだろうけど。
何はともあれ、この映画を観ての個人的な見解↓
疑問1:ピラミッドの作り方が遺されていない
→この時代王位を巡る争いなんて日常茶飯事だったから、ンな機密事項は紙に残しておけない。
てか、紙(パピルス)自体超高価だったし、用途は死者の書だったから作り方なんて伝聞だったんじゃないのかしら。個人的にはエジプトを属州にしたローマ人がビビり、石版文献等々全てを焼きつくしたもんだと思っとるけど。
疑問2:各地に遺されている有名な遺跡には全て、違うサイズの石を組み合わせるという技術が共通している。もしかしたらこれらは全て同一の文明人が作ったのでは?
→どの国の人間でも、地震で何度も家が倒壊するような地域に住んでるのであれば、それを解消しようと奮闘するでしょう。その手段が「違うサイズの石を組み合わせる」というものであり、偶々他の地域の文明とカブったため。
疑問3:でも天文学的にも数学的にも色々と似通り過ぎてるし。
→まあ、大陸移動説で南米と西阿の形状が超似てるしって言われてるから、元々一つの大陸だったものが時を経て分かれたと思ってもおかしくはない。
この映画に出てくる学者の一人が「人類が滅亡してもピラミッドは残る」って言ってる位だから大陸がくっついてる時に人類が滅亡、後に少しずつ大陸が分かたれ、現在の形状になってから太古の文化が発見されました。って具合なんじゃないかしら。
こう考えると疑問2に関しては、確かに同じ文明の人間によるものって考え方が出来るけど。
疑問4:要するに、古代文明が現代に生きる我々に対し、来るべき滅亡の瞬間に際しての警鐘を鳴らしているみたいなんだけど。
→余計なお世話です。そもそも現文明では地球がぽかーんといったら、我々もぽかーんと行くしか無いじゃないよ。
あと、磁極反転すると人類が滅亡するってシナリオ、私確かドラえもんで読んだよ。
The Great Gatsby [映画]
トビー・マグワイア。
『アイスストーム』や『サイダーハウスルール』などの
“小粒ながらも秀作”な作品に出続けた後、スパイダーマンシリーズで一気にブレイク。
映画ファンからアメコミファンまで広くその名を知らしめることとなる。
レオナルド・ディカプリオ。
端正な面差しからアイドル俳優として多くの女性ファンを獲得、
『ロミオ&ジュリエット』や『タイタニック』などで名を馳せた後は、
『ディパーテッド』や『シャッターアイランド』などで確かな演技力を磨く。
この二人が親友関係。
今でこそ普通に受け入れられてるけれど、十年ほど前、
当時のアイドルディカプリオにヤられていた友人に言わせれば、
「え?トビーって誰(笑)」なリアクションだった。
ありがとう、スパイダーマン。 ありがとう、サム・ライミ。
……まあ、それはどうでもいいとして、
『ボーイズライフ』『あのころ僕らは』ぶりの親友同士の共演は、
まさに二人が歩んできた道の違いを表しているような配役でありました。
バズ、これ意図的にキャスティングしたよね(確認)?
絢爛豪華な人生を歩んでいるかに見えるディカプリオのジェイ・ギャツビー。
それを傍から友人のような距離感でもって見守る隣人のトビー=ニックは、
まさに親友の成功を傍から眺めていたリアルトビーの姿勢にもダブる。
そのため、劇中の「今回も傍観者だった」という台詞の重いこと重いこと。←邪推
バズ、これ意図的にキャスティング(以下略)
内容は有名な話過ぎるので割愛。
バズ作品ならではのダンスシーンの絢爛豪華さや絵画的な映像美は今回も健在だったけど、
残念なことに、上映に先行して売り出されていたサントラを手にした身としては、
GotyeとSiaの曲がエンドクレジットだけなのが頂けなかった。
全体的な構成としては、前作『オーストラリア』や『ロミオ&ジュリエット』に見られた
やり過ぎ感はさほど感じられなかったけれど、
楽曲の活かし方は『ロミオ&ジュリエット』に劣ると思う。
個人的に『ロミオ~』はオチからのダークなEXIT MUSICへの流れ、
そしてその後の何とも言えない余韻が素晴らしかった訳で、
要するに、RADIOHEADが素晴らしかった(笑)。
ラナ・デル・レイのメインテーマも折角の良曲なのに、
いまいち本編で活かされきれていなかったので、どうせならアレが締めでも良かったと思う。
誰もが知る有名な作品の映画化、というだけでなく、
キャストや音楽の面でも一粒で二度三度美味しい映画でございました。
一代宗師(グランド・マスター) [映画]
久々の王家衛。
恋する惑星でアホな二枚目のトニーにハマり、
ブエノスアイレスで妙な存在感を醸したチャン・チェンが気になり、
2046で別嬪のチャン・ツィイーにヤラれた私としては、
是非とも観に行かなくては……と公開初日鑑賞。
いやあ、カッコ良かったわ。
馬三役のマックス・チャン(笑)。
なんか主演陣の中でこの人だけ妙に技のキレが違うと思ってたら、
ガチで武術やってた人なのね。
元々は裏方でアクション指導してた人らしいので、
今後も超期待ですわ。
面もイケメンだしな。
さて、内容。
時は1930年代の中国。
八卦拳の宗師である宮(ゴン)は中国武術の達人として名を馳せてきたが、
そろそろ若手に花を持たせてやろうかの、と引退を決意する。
中国武術の頂点に立つ宮が後継者に選んだのは、以下の三人。
詠春拳の宗師である葉問(イップマン)。
一番弟子の馬三(マーサン)。
実の娘で、奥義六十四手を受け継ぐ若梅(ルオメイ)。
我こそは、と名乗りをあげたイップマンがまずゴンと対決するが、
「この餅を手刀で切れ」という
まるで某ジャンプに出てくる師匠のようなことをのたまうゴン。
イップマンは「師匠は中国いちじゃん。でも俺は世界いちになりたいじゃん(超意訳)」と
口では言いながらも、あっさり手刀で餅をカットするツンデレぶりを披露する。
そのツンデレに腹を立てたのが、娘のルオメイ。
よくもウチの親父様を倒してくれたな、とイップマンに対決を申し込み、
その素晴らしき奥義で対戦するも、
うっかりなんか良い感じになってしまう。
ちなみにイップマンはこの時、妻子持ち。
まさかのイップマン不倫フラグに動揺する観客。
イップマンとルオメイが愛と闘志を秘めた謎の文通を交わしている間に、
まさかのマーサンによるゴン殺害計画遂行。
ここでもまさかのジャンプルール発動。
ジャンプによる掟:師匠は弟子に殺害される運命にある。 ←偏見
無論、ルオメイがジャンプルールに共鳴出来る訳もなく、
父の仇を討つため親類縁者を呼び寄せてみたが、逆に運命を受け入れろと諭される始末。
勿論アーマードコアな連中に共感できる筈もなく、
ルオメイは「私がルールよ!」とばかりに単身マーサン討伐に乗り込む。
一方、イップマンは金の工面に困っていた。
***
大体、これが中盤までのあらすじ。
活躍度から言うと、
ルオメイ6:イップマン3.5:カミソリ0.5
チャン・チェン(カミソリ)率少ねっ!
個人的にはチェン>>>ツィイー>>トニーの順で好きなので、
結局謎の理髪師で終わってしまったチェンの登場場面が少なかったのは残念だった。
八極拳ももっと観たかったし。
全体的にアクション映画としては物足りなく(特に葉問)、
人物描写の映画としてはまあまあ。
まあ、アクションはどうしてもドニー・イェン版と比べちゃうからなぁ……。
映像美は相変わらず絵画的なセンスで最高。
あと、梅林茂のサントラは買いです。
ギャツビー含め、今年必携の一枚になりそう。